豪雨に強い家は建てる前から決まる?土地選び・住宅設計・外構で考える浸水対策

「大雨のたびに、道路に水がたまる」「これから家を建てたいけれど、浸水しにくい土地か分からない」「屋根や外壁だけ直せば、豪雨への備えは十分なのだろうか」——。

近年、住まいの豪雨対策は、雨漏りを防ぐだけでは不十分になっています。


気象庁によると、全国の1時間降水量50ミリ以上の大雨は、最近10年間(2016〜2025年)の平均発生回数が、統計期間の最初の10年間(1976〜1985年)と比べて約1.5倍に増えています。

1時間降水量80ミリ以上など、より強度の高い雨は、1980年ごろと比べておおむね2倍程度に増加しています。


こうした雨から暮らしを守るには、雨水を「建物に入れない」だけでなく、「敷地へ集めない」「安全な方向へ流す」「一時的にためる」「万一入っても重要な設備を守る」という多層的な備えが必要です。

特に新築では、土地、建物、外構を一体で考えることで、完成後には変更しにくい床の高さや設備配置まで計画できます。

この記事では、埼玉県川口市周辺で家を建てる方、今の住まいを改修したい方に向けて、浸水リスクに応じた対策の考え方を紹介します。


① 豪雨対策の出発点は「その土地に水がどう来るか」を知ること

豪雨に強い家を考えるとき、最初に見るべきものは住宅設備のカタログではありません。

まず、その土地にどこから水が来て、どれほどの深さになる可能性があるのかを確認します。

国土交通省も、住まいを選ぶ際には、市区町村のハザードマップや国のハザードマップポータルサイトを使い、地域の災害リスクを調べることが重要だとしています。

確認したいのは、河川の氾濫による「洪水」だけではありません。

短時間に下水道や水路の排水能力を超える雨が降り、道路や宅地に水があふれる「内水氾濫」もあります。


川口市は、街の多くがアスファルトやコンクリートで覆われ、雨が地中へ染み込みにくくなったことから、降雨量が一時的に排水可能な量を超える内水氾濫の可能性が高まったと説明しています。

市が公表する過去の内水氾濫履歴も、土地を検討するときの参考になります。

ただし、ハザードマップで色が付いていないことは、浸水が絶対に起こらないという意味ではありません。

地図とあわせて、次の点を現地で確認しましょう。

  • 前面道路より敷地が低くなっていないか
  • 周囲よりくぼんだ地形ではないか
  • 雨水が集まりそうな坂の下ではないか
  • 近くに河川、水路、側溝があるか
  • 側溝や集水ますが十分に整備されているか
  • 近隣で道路冠水や床下浸水が起きたことはないか


晴れた日に見るだけでなく、可能であれば雨の日にも現地を確認すると、水の流れが分かります。

不動産会社や設計者へ、過去の浸水状況、敷地と道路の高さ、想定浸水深を具体的に質問することも大切です。


② リスクが分かったら「守る高さ」を決める

土地の浸水リスクを把握したら、次はどの高さまで住まいを守るかを考えます。

この基準が曖昧なままでは、玄関だけを高くしても、床下換気口や配管の貫通部など別の場所から水が入る可能性があります。

国土交通省の浸水対策例には、敷地のかさ上げ、建物の高床化、電気・空調設備の高所設置などが挙げられています。

新築時に検討できる代表的な方法は次のとおりです。

  • 敷地を盛土し、周囲より宅盤を高くする
  • 基礎や1階床の位置を高くする
  • 玄関、勝手口、床下換気口などの開口部を高くする
  • 浸水リスクが高い場所では地下室や半地下を避ける
  • 2階に寝室や一時的に滞在できる場所を設ける


床上浸水を避けることは、被害を抑える大きな分岐点です。

床、壁、断熱材、家具、家電まで水に触れると、乾燥や消毒、撤去、交換が必要になり、暮らしの再開に時間がかかります。

そのため、想定される水位と1階床の高さを比較し、設計段階で対策の優先順位を決めます。

一方、敷地は高くすればよいというものではありません。


盛土によって隣地へ雨水が流れたり、道路との段差が大きくなったりする場合があります。

擁壁の安全性や法規制、車や人の出入りも含め、敷地全体で検討する必要があります。


③ 水が入っても暮らしを止めない設備配置

浸水対策では、「水を一滴も入れない」ことだけを目標にすると、想定を超える豪雨に対応できません。

万一浸水した場合にも、停電や給湯停止などの二次的な影響を小さくする設計が重要です。

たとえば、分電盤、給湯器、蓄電池、太陽光発電のパワーコンディショナー、エアコンの室外機などを、想定浸水深より高い位置へ設置する方法があります。

屋外コンセントや配線の高さも含め、設計者や電気設備業者と相談します。

1階と2階で電気回路を分けておけば、1階が被害を受けても、安全確認後に2階の電気を使える可能性があります。


給排水管には、下水や排水が宅地側へ逆流するのを抑える設備も検討できます。

国土交通省と経済産業省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」でも、浸水リスクの低い場所への電気設備の設置、建物内への浸水を防ぐ水防ライン、設備室への浸水防止などが示されています。


新築の打ち合わせでは、間取りや内装に目が向きがちです。

しかし、設備の高さや配線計画は完成後の変更が難しい部分です。

「この土地で想定される浸水深に対して、重要設備はどこに置くのか」を早い段階で確認しておきましょう。


④ 外構は「防ぐ・流す・ためる」の3方向で整える

建物の浸水対策をしても、外構計画によって雨水が玄関へ集まれば、十分な効果を発揮できません。駐車場、玄関アプローチ、庭、門まわり、雨樋、側溝を一つの排水計画として考えます。

水を防ぐ

道路から水が流れ込む可能性がある場合は、門まわりや玄関前に適切な立ち上がりを設ける方法があります。

玄関や勝手口には、必要なときに止水板を取り付けられる金具や収納場所を、建築時から用意しておくと対応しやすくなります。

床下換気口、地下への階段、低い位置の窓なども水の入口になります。

建物の外周に「水防ライン」を設定し、その線上にある開口部を漏れなく確認する考え方が有効です。


水を流す

外構の地面には、建物から離れる方向へ水を導く勾配を付けます。

駐車場から玄関へ、隣地から建物へと水が流れないかを確認し、必要に応じて側溝や集水ますを配置します。

屋根に降った雨を受ける雨樋も重要です。

雨樋が細い、外れている、詰まっていると、あふれた水が外壁を伝ったり、建物の基礎周辺に集中したりします。


屋根面積や地域の降雨状況に応じた排水能力を確保し、雨樋の出口から先まで安全に流れる経路を計画します。

ここで注意したいのが、雨水を単に道路や隣地へ排出すればよいわけではないことです。

排水先の能力や自治体の基準を確認し、敷地内と周囲の双方に負担をかけにくい計画が求められます。


水をためる・染み込ませる

都市部では、庭や駐車場をすべてコンクリートで覆うと、雨水が地中へ染み込まず、一度に排水設備へ流れ込みます。

敷地や地盤の条件が合えば、透水性舗装、浸透ます、植栽帯、雨庭などを取り入れ、流出のピークを和らげる方法があります。


雨樋から雨水貯留タンクへ導き、一時的にためる方法もあります。

ためた水は、平常時の庭への散水などに活用できます。

川口市では2026年度、要件を満たす雨水貯留施設について、設置費の2分の1を支援し、市内業者を活用した場合は1システム当たり上限24,000円としています。

ただし、浸透設備は地下水位、土質、隣地との距離などによって適さない場合があります。

補助制度も予算到達で終了するため、計画時点で自治体と施工業者へ確認してください。


⑤ 浸水リスク別に対策の優先順位を変える

すべての住宅に、盛土や高床化が必要なわけではありません。

リスクに応じて、費用をかける場所を変えることが大切です。


比較的リスクが低い土地

ハザードマップ上の浸水リスクが低く、周辺にも冠水履歴が見られない場合は、屋根・外壁の防水、十分な雨樋、排水口の清掃、雨水貯留など、日常的な雨仕舞いを中心に整えます。

ただし、局地的な大雨まで保証されるわけではないため、現地の高低差は確認します。


内水氾濫が心配な土地

道路冠水や排水の逆流が心配な場合は、外構勾配、集水ます、玄関や床下換気口の止水、逆流防止設備を優先します。

道路より低い駐車場や地下空間がある場合は、水の侵入経路と避難経路を特に慎重に検討します。


想定浸水深が大きい土地

土地選びの再検討を含め、宅盤・床の高さ、高床化、2階の居住・避難空間、重要設備の高所配置を新築前から検討します。

建築的な対策だけで命の安全を確保できるとは限らないため、避難場所、移動経路、避難を始めるタイミングも家族で決めておきます。


⑥ 既存住宅でも「水の入口」から優先して改善できる

すでに住んでいる家でも、対策できることはあります。

まず大雨の日に水が集まる場所を記録し、安全な日に雨樋、屋根、外壁、ベランダ、排水口、玄関まわりを確認します。

外壁やコーキングのひび割れ、屋根のサビ、雨樋の破損は、雨水の侵入や外壁劣化につながる可能性があります。


玄関が道路より低い、駐車場の水が建物側へ流れるといった問題は、止水板や排水設備、外構勾配の改善を検討します。

給湯器や室外機についても、設置条件を確認したうえで、かさ上げできる場合があります。

有限会社おが建では、屋根・外壁の塗装や防水、ひび割れ補修、板金・雨樋交換、駐車場、玄関アプローチなどの外構工事に対応しています。

建物と外構を別々に直すのではなく、水がどこから来てどこへ流れるかを見ながら、優先順位を付けることが重要です。


なお、屋根など高所への立ち入りや、冠水中の屋外設備の確認は危険です。

異常を見つけても自分で上らず、写真を撮れる安全な範囲にとどめて専門業者へ相談しましょう。


⑦ 土地・住宅・外構を一体で考えることが、将来の安心につながる

豪雨対策には、一つですべてを解決する設備はありません。

土地のリスクを知り、守る高さを決め、開口部と設備を配置し、外構で雨水を防ぎ、流し、ためる。


さらに、想定を超えた雨に備えて避難方法を決めておく。

この重なりが、被害を小さくします。

特に新築では、住宅が完成してから止水板や排水設備を追加するより、間取り、床の高さ、設備配置、駐車場、玄関アプローチまで一緒に設計するほうが選択肢を広げられます。

川口市に根差して36年のおが建は、デザインや暮らし方に合わせた「100%注文住宅」と、屋根・外壁・外構を含むリフォームに対応しています。


これから土地を選ぶ方も、現在の住まいに浸水の不安がある方も、まずは敷地と建物のどこに水が集まる可能性があるかを整理してみませんか。

雨樋の状態や外壁のひび、道路と玄関の高さなど、気になる箇所があれば、写真とあわせておが建へご相談ください。

現地の状態とご予算を踏まえ、今すぐ必要な対策と、将来の工事で備えられる対策を一緒に考えます。

参考情報

※気象データおよび補助制度の内容は2026年9月10日時点の公開情報に基づきます。

補助制度は受付期間、予算、対象要件が変更・終了する場合があります。

実際の浸水対策は、敷地条件、想定浸水深、地盤、建築関係法令、排水先などによって適切な方法が異なります。

設計者、施工業者、自治体などへご確認ください。

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